京田辺市の仏像巡り

京田辺市の仏像めぐり

 

2022年12月29日に午前中に絞って京田辺市周辺の優れた仏像を祀る寺院を二か所参拝しました。

ひとつは、三山木駅近くにある「寿宝寺」もう一つは、三山木駅から西に徒歩30分程のところにある「大御堂観音寺」です。

このうち「寿宝寺」の本尊千手観音菩薩立像は、2014年に京都国立博物館で開催された「南山城の古寺巡礼」展に出品され、平時は電話による拝観予約でそのお姿を拝せます。

 

寿宝寺の様子。通常はこの反対側に入口があるのですが、千手観音のお姿を写した看板があります。

もう一つの「大御堂観音寺」には奈良県聖林寺の十一面観音と並び称される国宝の「十一面観音菩薩立像」があり、こちらは博物館での出展はないようで、現地で拝観受付の上、本堂内でそのお姿を拝することができます。

 

観音寺の全景

この他に「一休寺」もあるのですが、今回は時間の都合で参拝できず割愛します。

 

寿宝寺について

真言宗の寺院で、創建等の由来は不明という。

寺伝では「山本の大寺山本の寺」と呼ばれ、かつて七堂伽藍が建ち並んでいたというが、何度も再建を繰り返して明治期に近隣の寺院と合併して今に至るといい、1997年(平成九年)に伽藍の改修などを行い、寺の姿を整備し現在にいたります。

かくれ古寺南山城六山めぐりの一つとされ、収蔵庫にある「千手観音菩薩」が知られています。

 

収蔵庫 本尊の千手観音立像はここに保管されています。

しかし、2008年に一度参拝し、2014年にも前述の京都国立博物館で出陳されていたこともあり、今回は御朱印のみ頂こうと考えていました。

ところが、御朱印をいただく間に「千手観音様のお姿を拝されますか?」というお寺のお方の御言葉を受け、甘んじて拝観をお願いいたしました。

拝観時間は9時から17時で、拝観料300円、御朱印は300円です。

その上、今回も収蔵庫の扉を閉めて、絵葉書のように「昼」と「夜」のお姿を再現してくださり昼間の厳しいお姿と夜のお優しいお姿を再び拝することができました。

ただ、感謝するだけです。合掌

さて、2014年の京都国立博物館でお会いした時は思う存分鑑賞しまして、手に描かれた眼は放射状にある光背のような小さな小手、意外と衣文が浅く起伏の小さい体躯など平安後期らしいお姿でした。

この時、収蔵庫にあった二つの明王像も展示されていたのですが、「大したものでない」と気にもしなかったのですが、今回収蔵庫で再開してその認識が間違いであったことを思い知りました。  

2023年の奈良、京都の南山城の仏像展で再開できればいいのですが・・・(後述)

 

寿宝寺の絵葉書 500円にて販売。

 

大御堂観音寺について

こちらも、正確な創建の時期はわかりません。

地元の記録では、天武天皇の勅願を受けた義淵という僧によって創建された親山寺(筒城寺)が起源とされ、聖武天皇の代に良弁僧正によって親山寺を取り込んで伽藍が造営され「普賢教法寺」となったと伝わっています。

その後は、小さな御堂に国宝仏が祀られる小さな寺院として存続することになりました。

JRまたは、近鉄三山木駅下車して、壽宝寺の反対側の道を進みます。

すると、「観音寺」と書かれた大きな看板があり、その道を曲がって境内内の駐車場にとめて参拝します。

本来こちらの「十一面千手観音様」を拝するには電話にて拝観の予約が必要です。

バスの倍は「普賢寺」のバス停を降りて、来た道を戻ると、観音寺に向かう道があります。

なお、「普賢寺」バス停へは、奈良交通バス90系統「水取」行き、または91系統「高船」行きに乗ることになり、1日六便の運行だけなので時間には注意が必要です。

これとは別に、100系統「同志社大学デイヴィス記念館」行きのに乗り、終点から900mの徒歩で向かうという方法もありますが、こちらは、同志社大学休講日は減便されます。

 

観音寺遠景

その道を進むと写真のように燈籠のある道の先に観音寺があります。

 

こちらの寺院にも駐車場があり、相応に大きいです。

 

観音寺の本堂に向かう途中に庫裡があり、拝観はこちらで受け付けています。

 

庫裡。正面入り口のある呼び鈴を押して、拝観のお願いをします。

すると、住職の同行のもとで本堂に参拝することができます。

拝観時間は、9時から17時で、拝観料400円、御朱印は300円です。

本堂 本堂内で御朱印も受け付けています。

なお、ご住職の支持にしたがい、本堂内の仏像の撮影はできませんが、それ以外の撮影してもよいというものがあります。

例えば、国宝の七体の十一面観音の仏像を紹介した展示物などです。

十一面観音菩薩の印象

十一面観音菩薩立像のお写真 小判は二種類300円、大判は三種類500円で販売。

訪問時は、年末ということもありお忙しい状態での拝観となり、住職同行の元ゆっくりと拝観することはかなわず、しばらく一瞥した後御朱印をいただきて帰ることになりましたが、2008年訪問時は、当時の住職の同行の元ゆっくりとはできませんが、そのお姿を目に刻むだけの時間をいただくことはできました。

聖林寺の像と比べて「女性的である」と言われるとおり、丸みのある顔立ちに整った面貌、狭い肩に緩やかな起伏や括れた腰など「たおやか」に思えるお姿です。

住職のお話から木屎漆は五ミリから二センチほど盛られているらしく、乾漆造らしい緩やかなカーブの襞や体の肉付きなどが見受けられたと記憶しています。

幸いなのは、小判・大判の写真が充実していることです。

 

2023年の特別展

 

2023年7月8日(土)から9月3日(日)まで奈良国立博物館では、「聖地南山城 奈良と京都を結ぶ祈りの至宝」展が、9月16日(土)から11月12日(日)まで東京国立博物館にて「京都・南山城の仏像」展が開催されます。

筆者が観音寺を訪れたときは、住職様より国宝の十一面観音は出陳されていということなので、どのような仏像が公開されるのか楽しみであります。